Webエンジニアがビジネスの理解にも使えるリボンモデル
前回、こんな記事を書いたんですが、
この記事で下記2点が重要だと書きました。
- UI/UXも大事だけど、どんなデータに価値があるのかを考えなければいけない。
- それにはエンジニアのビジネスの理解が重要。
じゃWebエンジニアはどんな形でビジネスを理解すれば良いのかを、筆者なりの方法を書いてみたいと思います。
業務フローを書く前に考えて欲しいモデルがあります
システム開発には業務をシステムに落とすための方法論があります。ユースケースや業務フローを書くとかですね。ユースケースはこんな図ですね。
ただこれらはビジネス側とエンジニアリング側で共通理解を得た上で設計に落とし、システムを構築するための方法です。
少し欠けているものがあります。
- どうやったらサービスが伸びていくか、利益をあげていくか
- 顧客の視点
利益をあげるためにシステムを構築するわけですから重要な視点です。 その時に役立つのが後述するリボンモデルです。
リボンモデル
リボンモデルを知っている人もいるかと思いますが、これはリクルート社がビジネスを設計する手法です。新規事業を考えるときだけでなく、既存事業を伸ばすための分析にも使われるようです。 リクルートは人材、結婚、不動産紹介など様々なサービスを提供していますが、全てこのリボンモデルで説明できます。 リクルートのサービスはBtoCのマッチングサービスが多いと理解していますが、BtoBもCtoCもリボンモデルで説明できます。
もしあなたが開発しようとしているシステムがこのリボンシステムで説明できるなら、ぜひリボンモデルを書くところから始めて欲しいです。
リボンモデルの説明は下記ページが参考になるかと思います。
試しにリクルートの転職サービスである「リクナビNext」のリボンモデルを書いてみました。
凄くさっぱりとした図ですね!でもがっかりしないで最後まで読んでください!
この図のマッチングというのは「企業が人材を採用する」になるかと思います。そしてそれを最大化させるために「企業」と「求職者」を集め、動かし(喚起)、マッチングの結び目を最大化したいことを表現しています。
集めて動かしてマッチングです。
マッチング効率だけ上げてもあまり意味がありません。実際、Webサイトの改善を行うときも、まずは入り口のランディングページから修正した方が効果が早いわけですし。
また、図には現れていないですが、利益を最大化させるためにはマネタイズをどうするかも重要です。リクナビNextの場合、それは広告商品の設計かと思います。
「値決めは経営」by 稲森和夫
開発する上でのリボンモデルを書く効果
先ほどの図で意識したいのは、リボンモデルの登場人物としては「求職者」と「企業」のみです。実際は広告営業とか広告を作るライターとか、求職者を集めるマーケッターとか、オペレーションを回す人とか、登場人物はたくさんいるはずですが、身内は出てきません。 一方、いきなりユースケース・業務フローを書く場合、むしろ身内の登場人物の方がたくさん出てきます。 それだと顧客視点がわかりにくく、何を最大化すれば良いのかもブレやすくなります。優先順位も表現出来ません。
要件定義をするときって、関係者と要件を詰めていくことになると思いますが、リボンモデルを理解しているリクルート社員ならまだしも、ほとんどの場合、各々の関係者が全体を把握していて、かつ顧客視点を有しているわけではありません。参考記事にも書いてありますが、プロダクトアウト型(作りての論理)にもなりやすいと思います。
ただし、もしこのリボンモデルを先に定義しておけば、どんなデータ、機能、施策があればマッチングを最大化できるのか、ビジネスの成功が掛かっているのがが一目でわかるので、組織のコンセンサスも取りやすくなるかと思います。
- 求職者をどうやってたくさん集めるのか。どんな観点で企業を探しているのか。
- 企業をどうやってたくさん集めるのか。どんな観点で求職者を探しているのか。
- 求職者をどんな施策で喚起するのか。マッチングするのか。
- 企業をどんな施策で喚起するのか。マッチングするのか。
ブラッシュアップが重要な部分はこのシンプルな図で説明出来ています。 優先順位付けを失敗しないためにも、組織全体での理解が重要かと思います。
最後に
筆者は今までにたくさんのWebサービスの開発に携わってきましたが、今でも現役バリバリで利益を出しているサービスは半分もありません。
新規事業は失敗する確率が高いのはわかっていますが、開発者側からすると、「そんなにおれらの開発を簡単に無駄にするなよ!」っていう想いもあります。
だからこそ、Webエンジニアはビジネスを理解しようよっていうお話でした。
あと、筆者は元リクルート社員ではないので、ネットで見た情報を参考にこのリボンモデルを理解していますが、間違いなどあれば指摘頂けるとありがたいです。 私のリボンモデルの説明が拙くて、凄さが伝わっていなかったら凄く残念なので、おすすめの書籍も貼っておきます。
リクルートの すごい構“創"力 アイデアを事業に仕上げる9メソッド
- 作者: 杉田浩章
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
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